中和で鰻屋を営むryoさんのサワードウを使用。丁寧にコネコネして天然菌を取り込んだもの。モルティな香、酸ジンワリ
<生産者様資料より>
ヴィンテージエール[V-6]
2025年1月5日に仕込み、2月18日にステンレスタンクからフーダーに移送。3月15日にボトリングしました。約2ヶ月半のボトルコンディションを経てのリリースです。
ヴィンテージエールはフーダー(オーク樽)で長期熟成させています。フーダー(500L)はステンレスタンク(250L)2本分で満杯になります。
なので、1仕込みを1タンクで長期熟成しているのではなく、V-1(2023年12月にオーク樽へ移送したもの)を樽の半分(500L中250L)だけボトリングし、残りはそのまま樽の中で熟成。V-2を残り半分250L追加分(2024年2月仕込み、4月にオーク樽へ移送)をブレンドして熟成。という感じで、V-1からの液種や菌を木樽に残しつつ、若い液種をブレンドしています。鰻のタレ方式を想像していただければ、理解しやすいかと思います。V-6はそれを5回繰り返しているものになります。要は23年12月から醸造した古い液種とその都度醸造した若い液種をブレンドしながら熟成させています。
見た目:透き通ったゴールデンイエロー
香り:オーク香
味わい:オーク香に続くリンゴやモモ、オレンジピールなどを連想させる白ワインのようなフルーティーな味わい。開栓直後は硬さを感じることも。時間経過とともに開いてきます。微炭酸。
アルコール度数:8%
火入れをしていないため、酵母が生きた状態で瓶内にいます。瓶底に澱が溜まっていますので、最後注ぐ時は静かに瓶を傾けながら注いでください。体に害があるものではありませんので、混ざっても大丈夫です。
酵母について
人工培養されたイーストではなく、空気中に漂う天然酵母で醸しています。岡山県北の中国山地に位置する蒜山(ひるぜん)は中和(ちゅうか)という人口600人ほどの小さな村でビールを醸しています。この村の荒井という集落の中の四幸(しこう)という所の渓谷で酵母を採取し、使用しています。
原料について
水は集落の天然水(井戸水)、麦芽はドイツ産のオーガニック麦芽、ホップはオーストリア産ホールのオーガニックホップ(Malling)、コリアンダーシードはオーストリア産オーガニックのものを使用しています。
Brewing date/2025.01.05
Bottling date/2025.03.15
<生産者様資料より> ブルワリーについて
岡山県北は蒜山(ひるぜん)の中和(ちゅうか)という雪深い、人口650人ほどの自然豊かな小さな村で、天然酵母を採取しビールを醸しています。酵母が健全に発酵して美味しいビールができるのも、土壌や水、空気を含めた周りの環境が健全であるからだと思います。ビールを醸すということを通じて、周りの環境に感謝しつつ守っていきたいと思うのです。
原料について 2024年2月19日
[麦芽] 原料の主たるもののひとつ、麦芽です。大麦を水に浸して発芽させ、芽が出たところで、熱風を当てて発芽を止め、出てきた芽や根を取り除いたものになります。発芽することで種子内のデンプンが糖に代わり、麦芽をお湯に浸して麦汁を作り、その糖分が酵母のえさとなり、炭酸とアルコールに分解されビールとなります。 使用している麦芽はドイツ産のオーガニックピルスナーの1種のみです。
[ホップ] ホップはオーストリアのMallingというオーガニックホップを使用しています。(2024.2月の醸造分から)ホップはビールに苦味や風味を与えます。そして、防腐作用もあります。 別途、無農薬無肥料でホップを自家栽培していますが、数量が限られているので、収穫後の夏季限定、醸造1回分で使い切っています。
[コリアンダー] コリアンダーもオーストリア産のオーガニックコリアンダーを使用しています。ミキサーで粉砕して、香り付けに添加しています
天然酵母について 2024年1月21日
今年から天然酵母の醸造について、少しずつお話しできたらと思い、ブログをしたためることにしました。表現することは自分の1番苦手分野だと思っていますが、でも頑張ります!
まずは醸すうえで大切だと思っている酵母についてのお話し。つちとみずの醸すビールの特徴は、天然水と天然酵母で醸造すること、そして自然栽培を実践している農民が醸していることだと思っています。その酵母については専門的な知識もないので感覚的な話しになるかと思いますが。
目に見えない酵母菌が美味しいビールを作ってくれているってことなんですが、ざっくりに言うと、甘い麦汁をアルコールと二酸化炭素に分解してくれるのが酵母なんですが、おそらくそれ以外のキャラクターも醸し出してくれているものだと思っています。一般的に使われる酵母は、人工培養された酵母(ビールを醸造するに適した菌を選別されたもの)になります。選別する段階で色々と人工的なものが関与しているのだろうな、ということが容易に推測できますが。しかしながら、やはり人工培養された酵母菌の方が発酵のスピードも早く、美味しいビールに仕上がりやすくなります。商品を回していくことを考えるととても大切なことです。それを悪だと思っていませんし、それも大切な技術のひとつだと思います。
自分が使用している酵母は、そこら辺の空気中に存在している野生酵母を捕まえています。天然酵母は発酵のスピードはゆっくりで、人間の思い通りにいかず、その仕上がりもどんな味になるのか予測不能で仕込みごとに毎回ドキドキさせられます。
不都合な天然酵母にこだわる理由。それはやはり仕事終わりのご褒美に毎日飲みたいなぁと思うからです。しかしながら自分の体に毎日入ってくるものは、やはりこだわりたいです。そして、自然栽培の野菜たちと一緒に、豊かな食卓を彩りたいからです。買えば美味しいワイン、いっぱいあります。でも、買うより自分で作ってみたい!身の周りにある自然なもの、自分で育てたもので、自然の流れのまま醸してみたい!と思うようになり、今に至っております。
その天然酵母をどうやって採取しているのか。写真のように麦汁を空気中に晒しています。場所を変えたり、時間帯を変えたり、晒す時間の長さを変えたりしています。晒したあと、密閉して常温で置いておくと、ブクブクブクブクし出します。恐る恐る蓋を開け、(開けた瞬間、ポンっと勢いよく開きますが)臭いを嗅いで、柑橘系のいい香りがしたら成功です!嫌な香りがして失敗してしまうことがほとんどですが。。
満月の日、早朝、夕方、渓谷の中、梅の木の下、田んぼの畦、色々と試してやっていますが、それはそれで楽しいです。成功失敗の区別は分かりません。同じ場所、同じ時刻でやっても成功失敗があります。面白いものですね。今は醸造所がある集落の中だけで採取していますが、同じ村の中の気になるスポットでも、今後採取していきたいと思っています。
この中和(ちゅうか)の環境だからできるんだ!とも思っていて、この景観、環境を守っていかなきゃ!とまずは思っていますし、同じ考えの頼もしい仲間たちもいます。ビールを醸すことを通して、自分が表現できることは何か。見えそうで見えない答えを当分は追っかけていきたいと思います。